いちごの炭疽病(たんそびょう)
 
【炭疽病(たんそびょう)とは】
炭疽病は、糸状菌(かび)によって引き起こされます。
主に「葉」と「葉柄」と「ランナー」に局部的に黒色(黒くくすんだ色)の病斑が発生する場合と、病斑が全く見えずにクラウン部が侵されて株が枯死する場合があります。
果実にも発生する場合があり、円形で陥没した黒色の病斑が現れます。
「ランナー」や「葉柄」に発生する病斑は、3mm~7mmの黒色の少しへこんだ楕円形状のもので、この病斑が拡大すると、その先が萎れて枯死する場合があります。
多湿時には、病斑部に粘液状あるいは粉状の胞子が生じる場合があります。
 
 
【発病状況】
親株が潜在感染株だと、その子(孫)苗にも伝染する確率が高くなります。
※炭疽病が発生した親株からとった苗は、「葉柄」に病斑が全く見えないのに萎れて枯れることが多々あります。
マルチ被覆後に、ハウス内の気温が上昇すると、潜在感染株が発病しやすくなります。
雨や灌水の時の水滴の跳ね返りにより、土壌表面に残った前作の「発病残さ」から胞子が飛散し伝染します。
発病の適温は28度前後で、高温多湿を好み、気温が下がると発病は止まります。
発病のしやすさは、品種間で差があります。
 
 
 
【防除のポイント】
健全な親株を使用し育成します。(無病の株を使用します)
炭疽病が発病した苗と一緒に育苗した「苗」は親株にしないようにします。
また、発病株の早期発見はとても重要で、発病した株を見つけたら速やかに撤去し適切に処分します。
鉢やプランターの消毒をします。
土の消毒も重要です。特に前作で病気が発生した圃場は、土壌消毒を行います。
灌水は、いちごの上からではなく、灌水チューブ等で行います。(水滴の跳ね返りがないように丁寧に灌水してください。)
また、長時間の灌水は控えて、「葉柄」が濡れている時間を短くすることも大切です。
雨があたらないように「雨よけ栽培」をします。
密植を避けて風通しをよくします。下葉の除去も有効です。
過度の窒素肥料施用は避けます。
化学薬剤は、「早い時期」から「定期的」に、「違う系統の剤」を「ローテーション散布」します。
※胞子は気温が20度を超える時期になると飛散が始まりますので「20度」を目安にします。
化学薬剤は、「予防剤(「オーソサイド水和剤80」など)」を主体として行います。
下葉の除去などのクラウンを傷つけるような作業後は、重点的に薬剤散布を行い予防に努めます。
 
 
 
 
 
 
 
「発生(発病)状況」や「防除のポイント」など、このページでご紹介した情報は一例です。
地域に「防除暦」などがある場合は優先的に参照して、注意点などをご確認ください。
対象病害虫、回数、収穫使用前日数などについては、使用前に必ずラベルを確認してください。