アリスタIPM通信 いちごのスパイカルEXとスパイデックスの同時放飼 天敵の確認方法
 
 
いちごのスパイカルEXとスパイデックスの同時放飼(天敵の確認方法)
 

今回はスパイカルEXとスパイデックスの確認方法についてお話ししたいと思います。

【天敵を見つけるコツ
1.  虫メガネを持ち歩こう!
2. 天敵を放飼した周辺でハダニが発生している葉を探してみよう!
3. 放飼2か月後以降が見つかりやすいぞ!
4. まずはハダニの抜け殻と干からびたハダニを見つけよう!

いちごのスパイカルEXとスパイデックスの同時放飼(天敵の確認方法)
 
天敵を放飼したら2か月後ぐらいに放飼した周辺でハダニが発生している葉(写真4のような葉表に黄色の斑点がついている葉が、ハダニがいる目印です)を虫メガネで観察してみてください。天敵はなかなか見つけることができませんが、ハダニの抜け殻(写真2)が目につくと思います。

これは天敵が脱皮直後の柔らかくて動きの鈍いハダニを捕食したため、ハダニがおらず抜け殻だけが残った状態だと考えられます。また、さらによく観察するとミイラのように干からびてくしゃくしゃになったハダニ(写真3)を見つけることができます。これこそが天敵に捕食されて体液を吸いつくされたハダニの成れの果てです。
放飼して数か月は天敵がまだ数が少なく見つけにくいのですが、このように抜け殻が見つかるのにハダニが少ない、干からびたハダニが見つかったということは天敵が活動している証拠です。安心してハダニ防除は天敵に任せてください。

写真5はハダニが多発生した時によくみられる光景だと思います。ところが、よく見ると葉色が緑色で濃く、写真4のような黄色の斑点が見られません。
実はハダニが増えてきたのですが天敵が防除したため吐糸だけ残った状態なのです。したがって、防除に成功した例ということになります。これも天敵にハダニ防除を任せて良い状態です。葉が糸だらけになったからと言って慌てて薬剤散布する必要はありません。葉の色を見て、さらに葉裏のハダニの発生状況も確認した上で薬剤散布を考えてください。

天敵を利用するようになって薬剤散布回数が減少し、作業が楽になったという方が多くいらっしゃいます。
この時間を栽培・収穫に使おうと考える方が多いと思いますが、圃場観察の時間にも使っていただくことが天敵を長く安定的に上手に使うコツです。

いちごのスパイカルEXとスパイデックスの同時放飼(天敵の確認方法)
 
その後、特に春先に天敵が増殖してくると葉裏で見つけることができるようになります。 スパイカルEXの有効成分であるミヤコカブリダニは淡黄色のカブリダニ(写真6. 8)です。いちごの葉裏では色が被害葉に紛れてしまい、見つけにくいことがあります。虫メガネで観察することにより発見する確率は格段に上がります。

スパイデックスの有効成分であるチリカブリダニは鮮やかな赤色のカブリダニ(写真7. 9)です。ミヤコカブリダニより目立つので見つけやすいカブリダニです。形も特徴的でティアドロップ型をしていますので、まず見間違えることはありません。

いちごのハダニ類に対するスパイカルEX・スパイデックスの同時放飼は昨年から本格的に普及を開始しましたが、成功率が非常に高く、天敵は難しいと言われていた数年前とはまったく異なった状況になっています。これは同時放飼すればよいというわけではなく、天敵放飼前の殺ダニ剤によるハダニ密度の低下(ゼロ放飼)、ハダニが増えてきてしまった時の天敵に影響の少ない薬剤の散布(レスキュー防除)の概念が地域の皆様に理解され始めているからに他なりません。

いちごのIPM防除は普及面積が益々拡大していく勢いです。ハダニ防除は散布水量が多く薬剤散布時間が通常より多くかかると言われていますが、IPM防除に取り組むことで特に忙しい収穫期の労力軽減を実現できます。また、天敵がハダニを食べてくれるという安心感も得られるとおっしゃる方もいらっしゃいます。いちごを育てているというよりハダニを防除していると感じていた方が、IPM防除を取り入れることでいちごを育てている実感が戻ってきたと話してくださったこともあります。軽減された労力を使って栽培面積の拡大を考えている生産者もいらっしゃいます。天敵との上手な付き合い方を身につけて、これからも末長く続く技術として地域に根付いてくれたら、我々としてもうれしい限りです。

今後も、皆様と協力して改善の努力を惜しまず前進していきたいと思いますので、ご指導、ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
 
 
 
※2012年11月27日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。