アリスタIPM通信 生産者の声(みかん、スワルスキー)
 
 
生産者の声
 
JAそお鹿児島 果樹部会 温州みかん専門部会
吉留 修さん(鹿児島県曽於市)
 

鹿児島県の大隅半島の北部に位置するJAそお鹿児島管内ではカンキツ類やマンゴーなどの果樹類の栽培が盛んに行われています。同JAの温州みかん専門部会では、12戸で約2.4haのハウスみかんが栽培されています。2010年からスワルスキーカブリダニの実証試験を実施し、ミカンハダニの防除に好成績が得られたため、2012年からは部会での本格導入が始まっています。

今回は、スワルスキーの実証試験に取り組まれた温州みかん専門部会の吉留部会長に管内の天敵利用への取り組みについて伺いました。



ミカンハダニ防除は最重要課題
ハウスみかん栽培において最も重要な害虫はミカンハダニです。近年は農薬に対する抵抗性の発達が著しく、またハダニに対しては薬液を樹全体にしっかりとかけるため他の病害虫よりも散布水量が多く、散布作業は栽培上の非常に大きな負担となっていました。
今回スワルスキーに取り組んだきっかけですが、隣のきもつき地域のレモンやハウスみかんでミカンハダニに対して好成績が出ていると聞いたこと、また、JAそお鹿児島管内ではすでにピーマンでスワルスキーが全戸導入されており、私の兄もピーマン生産者でスワルスキーを使っていたため、ハウスみかんでの実証試験に取り組むことにしました。
2010年の春に実施した実証試験ではスワルスキーの放飼タイミングが4月下旬と遅く、またスワルスキーに影響のある農薬を放飼前に使用していたため、良い結果は得られませんでした。

コーヒーフィルター放飼で定着を確認、ハウスみかん部会の9割がスワルスキーを導入
そこで2011年は放飼前の農薬に注意しながら開花期の1月上旬にスワルスキーを放飼しました。2010年はスワルスキーのボトルの中身を2つに折ったコピー紙の中に入れて樹の分岐部に置いていくという作業で非常に手間がかかりましたが、2011年は製剤をコーヒーフィルターにふすまや砂糖と一緒に小分けしてホチキスで止めるという放飼方法で、処理はある程度楽になり、またスワルスキーの定着性も向上するということでした。
 
吉留 修さん
 
吉留 修さん

3つのハウスで導入したのですが、2ハウスについてはミカンハダニが初期に増えたもののスワルスキーの働きで減少し、収穫時まで被害を抑えることが出来ました。1ハウスについては5月にハダニがやや増えたのでスワルスキーに影響の少ないダニ剤でレスキュー防除を1回実施することで収穫まで抑えることが出来ました。
いずれのハウスも着色前にハダニの吸汁痕が見られたものの着色時にはほとんど消えてしまったので出荷には特に問題はなかったです。

この年は私を含めて5戸10園で試験導入が行われ、おおむね良好な結果が得られたため、2012年には天敵利用体系の防除暦が作成され、ハウスみかん生産者の9割がスワルスキーを導入しました。


パック製剤導入で、さらなる省力化を期待
スワルスキーを導入することで、ハダニの防除回数をかなり減らすことができ、労力の軽減につながっていると思います。私は今期もスワルスキーをコーヒーフィルターで放飼していましたが、スワルスキープラスという、より簡単に処理できるパック製剤も販売されており、そちらを使っている生産者もいますので、来作はパック剤の利用も検討しています。管内では、加温デコポンやマンゴーにおいてもスワルスキーで好結果が出ており、来作での導入が検討されています。スワルスキーの利用についてはハダニ以外の害虫の防除などまだ課題は残っていますが、これからも地域全体でより安全、安心な果樹作りに取り組んで行きたいと思っています。

 
 
※2012年11月27日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。