アリスタIPM通信 生産者の声(なす、スワルスキー、アフィパール、アフィバンク)
 
 
生産者の声
 
JAはが野
高松 秀樹さん(栃木県真岡市)
 

栃木県のJAはが野なす部会は栃木県最大のナス部会です。促成土耕栽培、促成養液栽培(ロックウール栽培)、半促成栽培、露地栽培の4つの異なるタイプの栽培に取り組んでおり、周年を通じて安定的にナスを出荷しています。今回は全国的にも珍しいナスの促成養液栽培で天敵を利用している養液栽培専門部 部長の高松さんにお話を伺いました。

 
すっかり天敵を利用したナス栽培にはまってます
天敵を利用し始めたきっかけは県の普及員とJA担当者からの紹介でした。2009年に発売になったばかりの「スワルスキー」を勧められて試験的に取り組み、今作で4作目になります。促成養液栽培は8月中旬に定植をしてから翌年の6~7月まで収穫が続きます。栽培期間が長期であることと、マルハナバチ  「ナチュポール」を利用するため使用できる農薬に制限があり、害虫の防除に毎年苦慮していました。

特に最近ではアザミウマやコナジラミに対する農薬の抵抗性の問題もあり、化学農薬のみを用いた防除に限界を感じていました。また、養液栽培は圃場内が乾燥しやすく、栽培後半はいつもハダニに悩まされていました。そんな中、スワルスキーの試験に取り組んでみたのですが、初年度は試行錯誤の連続でした。当時は天敵の情報が少なく、影響がある展着剤を散布してスワルスキーが減ってしまったり、アザミウマは防除できているのにアブラムシやハダニが発生してしまったりと、毎年対応に苦慮しましたが、一方で手応えもあり上手な使い方を模索して取り組んできました。特に定植~年内のスワルスキーの効果は非常に安定しており、農薬の散布回数も減って助かっています。

ハチに優しい農薬を温存するためナチュポールの導入を見送っていたこの時期にスワルスキーを利用するようになってからは、農薬の散布回数にも余裕ができ、年内からマルハナバチを利用できるようになりました。ホルモン処理に用いていた時間を今ではナスの収穫作業や誘引作業などの管理時間に充てる事ができ、労力的にも大変助かっています。天敵を導入する前に比べて農薬の散布回数は半分以下になりました。


厳冬期は管理温度が低いためスワルスキーは殆どいなくなってしまい、3月頃にスワルスキーをもう一度放飼していたのですが、あまり定着が良くありませんでした。しかし昨年登場した「スワルスキープラス」(パック製剤)の利用を始めてからはスワルスキーカブリダニの定着が良くなり、効果が安定するようになりました。前作はアザミウマとコナジラミの効果は安定していたのですが、終盤はハダニに悩まされました。養液栽培ではハダニが発生しやすいため、この地区の春の最重要害虫はハダニになります。前作からは秋と春に「スパイカルプラス」を放飼し、ハダニの発生が確認されたら選択性殺ダニ剤を散布した後に「スパイデックス」を追加放飼しています。例年5月頃に田植えの時期と重なるため農薬散布の時間が取れず、毎年ハダニに悩まされていましたが、ハダニの天敵を利用するようになってからはハダニにも困らなくなりました。
現在はアブラムシの対策としてバンカー植物の「アフィバンク」を用いた「アフィパール」の利用にも取り組んでいます。

試験を通して他の部会員も天敵に興味を持つようになり、周りでも天敵利用者が増えています。年配の方でも簡単に使用することができ、農薬の散布回数が減って省力化につながるため、もっと天敵利用の場が広がればと考えています。今後は他の天敵の上手な使い方も覚えていきたいと思います。
 
自前のアフィバンク増殖ハウス前にて(右側が高松さん)
 
自前のアフィバンク増殖ハウス前にて(右側が高松さん)
アフィバンク増殖ハウス内部
 
 
※2013年4月30日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。