アリスタIPM通信 温室メロンにおけるスワルスキーカブリダニ製剤によるミナミキイロアザミウマ防除現地実証試験
 
 
温室メロンにおけるスワルスキーカブリダニ製剤による
ミナミキイロアザミウマ防除現地実証試験
 
スワルスキーはこれまでピーマン(パプリカ・ししとう)、なす、きゅうり、かんきつを中心に普及が進んできましたが、新たな作物として温室メロンでの利用方法がわかってきました。昨年のこの時期に静岡県内で実証圃試験を実施し、良好な結果が得られましたので、静岡県中遠農林事務所の古木様より情報提供していただき、本編集部にて内容を抜粋したものをご紹介いたします。


目的
温室メロン栽培では、従来化学合成農薬を主体とした病害虫防除がおこなわれてきたが、近年、微小害虫を中心に農薬に対する抵抗性が発達し、防除効果の低下が問題になっている。一方、消費者の安全・安心志向の高まりから、IPM(総合的病害虫・雑草管理)への関心が高まっている。今回の試験では、メロンの主要害虫であるミナミキイロアザミウマとタバココナジラミに防除効果のある天敵資材として、スワルスキーカブリダニの現地における実用性を検証する。

1. 処理方法
・設置概要:遠州中央温室メロン部会4戸の温室
・実施時期:平成24年8月31日~10月25日
・処理方法:「スワルスキー」1/2ボトル及び「スワルスキープラス」50パックをハウス1棟分とし、ボトルは全株に葉上放飼し、パックは温室内に均等に吊り下げた。すべての温室で 8月31日に放飼した。物理的防除資材として、ホリバー・イエローとブルーを各20枚ずつハウス内に設置した。

使用農薬(殺虫剤)は、下記の枠で囲ったアリスタ ライフサイエンス株式会社の資料にしたがって選択し、使用した。


スワルスキーに対するメロンの殺虫剤の影響
A) 天敵導入中に使用可能な殺虫剤
・殺ダニ剤:ダニサラバFL、スターマイトFL、カネマイトFL
・気門封鎖剤(やや影響あり):エコピタ液剤、サンクリスタル乳剤、粘着くん液剤
・その他:ウララDF、ウララくん煙剤、チェス顆粒水和剤、デミリン水和剤、カスケード乳剤、スタークル/アルバリン顆粒水溶剤、サンヨール、トリガード液剤、プレオフロアブル、BT剤

B) 多少影響があるため、天敵密度が高くなった場合(天敵放飼1ヶ月後以降)に使用可能な殺虫剤(ただし連用は避け、天敵放飼前の使用は2週間前まで)
・バリアード顆粒水和剤、モスピラン水溶剤、モスピランジェット、アクタラ顆粒水溶剤、ダントツ水溶剤、ベストガード水溶剤、アタブロン乳剤、ラノー乳剤

C) 天敵に影響があるが、天敵導入2週間前までは使用可能な殺虫剤
・殺ダニ剤:コロマイト乳剤
・その他:スピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤、
(定植時):モスピラン粒剤、アドマイヤー1粒剤、ベストガード粒剤、アクタラ粒剤5、ダントツ粒剤、スタークル/アルバリン粒剤

スワルスキーに対するメロンの殺菌剤の影響
A) 天敵導入中に使用可能な殺菌剤
・オーソサイド水和剤80、有機銅水和剤、サンヨール、ロブラール水和剤、ロブラールくん煙剤、プラタンFL、バイレトン水和剤5、ダコニール1000、トリフミン水和剤、トリフミンジェット、ストロビーFL、アミスター20FL、アミスターオプティFL、パンチョTF顆粒水和剤、パンチョTFジェット、カンタスDF、アフェットFL、フルピカFL、ラリー水和剤、ベルクート水和剤、フェスティバルC水和剤、バイコラール水和剤、ルビゲン水和剤、スミレックス水和剤、ランマンFL、微生物殺菌剤

B) 多少影響があるため、天敵密度が高くなった場合(天敵放飼1ヶ月後以降)に使用可能な殺菌剤(ただし連用は避け、天敵放飼前の使用は2週間前まで)
・アリエッティ水和剤、フォリオブラボ顆粒水和剤、フォリオゴールド、トップジンM水和剤

C) 天敵に影響があるが、天敵導入2週間前までは使用可能な殺菌剤
・モレスタン水和剤、カスミンボルドー、カッパーシン水和剤
注) FL:フロアブル

温室メロンにおけるスワルスキーカブリダニ製剤によるミナミキイロアザミウマ防除現地実証試験
 
2. 調査方法
温室内各ベッドに、「スワルスキープラス」のパックが設置された株と設置していない株を無作為に1~2株程度抽出し、上中下位葉各1葉に寄生するスワルスキーカブリダニおよび対象害虫ミナミキイロアザミウマ、タバココナジラミの虫数を計測した。調査株数は各10~12株/棟、調査は5~6名で実施した。放飼時の害虫はD氏を除いてほとんど見られず、数値としては残していない。

調査月日:
①平成24年9月12日(放飼12日後)、②9月26日(放飼26日後)
  ③10月10日(放飼40日後)、④10月25日(放飼55日後)
 
 
3. 結果
 
温室メロンにおけるスワルスキーカブリダニ製剤によるミナミキイロアザミウマ防除現地実証試験
 
 
4. まとめ
温室メロン生産における重要な害虫であるミナミキイロアザミウマの防除剤として、天敵となるスワルスキーカブリダニを製剤化した「スワルスキー」及び「スワルスキープラス」を上記の条件(高密度)で施用した場合に安定的な定着と防除効果が確認された。

このことから、IPM資材としての実用性が高いと考えられるが、タバココナジラミについては、一部の圃場で防除効果がやや不安定であった。この要因はおそらく周辺からの飛び込み量が急増したが天敵への影響を考慮して薬剤散布を控えたためと思われる。また、従来の化学農薬中心の防除体系では問題にならなかったウリノメイガやカンザワハダニ等の害虫の発生への防除技術の確立が必要と考えられる。

さらに、本資材は単価が高価であることから、費用対効果を検討した上で、実用濃度で効果を確認しつつ、より経済的で実用性の高い防除方法を確立していく必要がある。
今後、導入に際し、防虫網の設置等、物理的防除法との併用やバンカープランツ等の利用による防除効果の安定化を総合的に検討することが必要である。

さて、試験から約1年経過した現在では、粘着トラップのホリバーを設置し、スワルスキー(ボトル)を温室1棟に全株葉上放飼し、少し余らせて苗に少量放飼しておく手法が主流となっている。

温室メロンにおけるスワルスキーカブリダニ製剤によるミナミキイロアザミウマ防除現地実証試験
 
 
※2013年7月29日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。