アリスタIPM通信 生産者の声(トマト、ミニポール・ブラック)
 
 
生産者の声
 
荒井 正寿さん(山形県大石田町)
 

スイカの産地として有名な山形県尾花沢市に隣接する大石田町では、市場出荷の生産者十数名の方々が情報を共有しながら、マルハナバチを利用した夏秋トマト栽培をされています。この地域では従来セイヨウオオマルハナバチを利用していましたが、外来生物法を考慮して昨年度からほとんどの生産者が在来種クロマルハナバチのナチュポール・ブラックに切替え、環境に配慮した取り組みがなされています。

今回は昨年発売になった小規格のミニポール・ブラックを利用している荒井正寿さんに、夏秋トマトでマルハナバチを利用する際の工夫等について伺いました。
  荒井 正寿さん
荒井 正寿さん
 
小面積にはミニポール・ブラック
4月から10月までの夏秋トマト栽培のうち、6月から8月までの高温期にマルハナバチを利用しています。マルハナバチを利用する前はトマトトーンを利用したホルモン処理を行っていましたが、毎週暑い中ハウス内の全ての花に処理しなければならず、労力的にとても大変でした。7年程前にマルハナバチを使い始めたのですが、マルハナバチは人の代わりにほぼ全ての花を授粉してくれるのでとても助かっています。元々はセイヨウ種のナチュポール・レギュラーを利用していたのですが、産地の取組みとして在来種クロマルハナバチの利用を検討することになり、昨年からはナチュポール・ブラックを使い始めました。

クロマルハナバチはセイヨウオオマルハナバチと比べると動きがゆっくりで最初は不安でしたが、1匹1匹がしっかりと仕事をしてくれており、バイトマークを比べるとセイヨウオオマルハナバチと遜色ない事が分かりました。現在は全てのハウスで在来種を利用しています。また、私は約300坪のハウスの他に約100坪の小さなハウスがあります。通常規格のマルハナバチを利用していたのですが、面積が小さく花数が少ないため、過剰に訪花しすぎるのが悩みでした。そんな中、小規格のミニポール・ブラックが販売されたことを聞き、早速導入しました。ミニポール・ブラックは働き蜂の数がちょうどよく、小面積には大変向いている商品だと思います。また、コスト的にもメリットは大きいと思います。

夏秋トマトの上手な利用方法
夏秋トマトでマルハナバチを利用する際に注意している事は、やはり暑さ対策です。夏は比較的涼しい地域ですが、7月半ばを過ぎると晴天時のハウスの中は35℃を超えます。その頃になるとマルハナバチは朝早くから活動をしているのですが、気温が上がり始める10時過ぎ頃から徐々に働いているハチが少なくなってきます。

また、日差しが巣箱に当たると蜂が入口周りで羽を震わせて巣箱を冷やそうとしていることがあります。暑さが苦手なマルハナバチを夏秋トマトで上手に利用するためには、十分な日除けをしてやることが重要だと考えています。私は巣箱への日除けはもちろんですが、作物に対する高温障害の軽減も兼ねてハウス天井に遮光剤を塗布しています。ただし、塗布する濃度によってはマルハナバチの働きに影響を与えてしまう場合もあるようなので注意が必要です。その他にもハウス内に砂糖水の補給ポイントを設置すると働き蜂のロスが減ると指導いただいたので、マルハナバチが認識しやすいと言われる青いカップを使って実践しています。

夏秋トマトは暑い時期の栽培になるため、マルハナバチが授粉してくれると大変助かります。ただ暑い時期はマルハナバチの活動が不安定になるため、なるべくハチが働きやすい環境づくりを心掛けています。今後もトマト栽培を続ける限りナチュポールを利用したいと思っています。

 
 
 
※2013年7月29日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。