アリスタIPM通信 促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
 
 
促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける
『トクチオン乳剤』 と 『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
 
マーケティング部 頼富寿秀
 
<トクチオン乳剤>

1.トクチオン乳剤について
トクチオン乳剤はプロチオホスを有効成分とする有機リン系殺虫剤であり、1975年の上市から40周年を迎えました。有機リン系の殺虫剤というとオルトラン水和剤等がありますが、これらと同様にチョウ目害虫やアザミウマ類に卓効を示すことに加え、カイガラムシ類やハダニ類にも高い効果を示すことが特長です。
特にハダニ類に対しては比較的新しい登録であり、最近では豆類(だいず、あずき)やてんさいのハダニ類に対しても適用拡大されています。


2.ハダニ類に対する効果
いちご/ナミハダニについては各種殺ダニ剤に対する抵抗性の発達が問題視されていますが、これら抵抗性のナミハダニに対してもトクチオン乳剤は高い効果が期待できます(表1参照)。
また、トクチオン乳剤はナミハダニの卵、幼虫および成虫いずれに対しても高い活性があり、効率的な防除が可能です(図1参照)。
なお浸透移行性がありませんので、散布の際は葉裏までまんべんなくかかるようにお願いいたします。

促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
 
促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
 
 
3.その他の害虫に対する効果
幅広い害虫に高い効果を示しますが、特にアザミウマ類およびカイガラムシ類には卓効を示します。
たまねぎ/ネギアザミウマ、柿/フジコナカイガラムシに対してはそれぞれ特効薬として認識されています。また、さとうきび/ハリガネムシ類やにら/ネダニ類などの土壌害虫にも効果が高いことが特長です。

4.いちごでのIPMプログラム内での使用について
トクチオン乳剤の天敵(チリカブリダニおよびミヤコカブリダニ)への影響日数は約1ヶ月ですので、IPMプログラム内では、いちご苗を本圃へ移植する前の育苗期にご使用いただけます。
また、いちごでの使用時期は収穫75日前までとなっておりますので、最終散布は収穫時期から逆算していただけますようお願いいたします。
なお、一部の品種(章姫など)においては葉に黒変症状が発生する場合がありますが、その後の展開葉や生育に影響はありません。

促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
 


<オーソサイド水和剤80>
1.オーソサイド水和剤80について
「オーソサイド水和剤80」は、キャプタンを有効成分とする有機塩素系殺菌剤であり、1956年の国内初登録より60周年を迎えました。

単剤であるオーソサイド水和剤80以外にも多くの混合剤が主に果樹向けに販売されております。

促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
2.いちご病害に対する効果
いちごでは、灰色かび病、炭疽病および芽枯病に対して登録を有していますが、特に炭疽病に対して卓効を示します。
炭疽病については、近年ストロビルリン系殺菌剤の耐性菌発達が問題となりましたが、同耐性菌に対しても高い効果を示すことが確認されています。

3.その他の病害に対する効果
りんご、なし、ぶどう、梅、柿、おうとう等の果樹類に発生する病害に対し、幅広く効果を示しますが、うどんこ病に対しては活性が低く、いずれの作物においても登録がありません。また、各種野菜類育苗時の立枯病予防としても広く使用されております。

4.いちごでのIPMプログラム内での使用について
天敵(チリカブリダニおよびミヤコカブリダニ)への影響はありませんので本圃でのご使用も可能ですが、育苗期の炭疽病防除でのご使用をお勧めします。

なお耐性菌が発生しにくい薬剤ですので、散布ローテーションの中にまんべんなく組み込んでいただくとより効果的です。
ただし使用回数は3回までとなっておりますので、ご注意ください(散布回数は育苗期の使用でも収穫までの総使用回数にカウントされます)。


トクチオン乳剤およびオーソサイド水和剤80、いずれにつきましても、ご使用の際はラベルをよくご覧ください。

促成栽培いちごでのIPMプログラムにおける『トクチオン乳剤』と『オーソサイド水和剤80』 の位置づけ
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※2016年8月5日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。