アリスタ通信 2016年産 促成栽培イチゴにおけるハダニ類の発生状況と天敵利用の状況
 
 
2016年産 促成栽培イチゴにおけるハダニ類の発生状況と天敵利用の状況
 
アリスタ ライフサイエンス(株) 里見純
 
2016年産ということは、2015年9月定植の促成栽培ということになります。
記憶に残っている方も多いと思いますが、11月~12月にかけてハダニが多発生した年でした。
熊本県では病害虫発生予察として初の警報を出したそうですが、熊本県だけのことではなく、どこへ行っても「今年はハダニが多い、止まらない、どうすればいい?」という話を聞きました。

さて、こんな状況の中、促成栽培イチゴの天敵利用はどのようなことになったでしょうか?まずは、イチゴ主産地の栃木県真岡市と警報が発令された熊本県の玉名市の気温について平年と比べたものを見てみましょう。

2016年産 促成栽培イチゴにおけるハダニ類の発生状況と天敵利用の状況
 

2015年は11月上旬から最低気温が平年をかなり上回って推移し、12月下旬まで最低気温が平年より高い日が続きました。遠く離れた両市を比べてもほぼ同様の傾向があったことがうかがえます。

実は2010年の11月~12月もハダニが多発しましたが、この年は11月下旬からの最低気温が高めに推移しています。このことからも11月~12月にかけての高温がイチゴでハダニが多発生する要因であることがわかります。

2016年産 促成栽培イチゴにおけるハダニ類の発生状況と天敵利用の状況
 
さて、このような11月~12月にかけて高温で推移する年にはイチゴのハダニ防除はどうすればいいのでしょうか?

ハダニが多かった2015年年末に問題なくハダニ防除ができた方の多くが、スパイカルEXとスパイデックスの同時放飼を採用されていて、しかも早めの放飼を心がけた方のようです。

グラフ4、5は、ある地域でのスパイカルEXの放飼時期に関するアンケート結果ですが、2016年産イチゴでは10月下旬に放飼する生産者の割合が増加していることがわかります。

つまり、ハダニが出てしまってからどうするかではなく、天敵を利用するのでれば、ミヤコカブリダニの特性を利用して待ち伏せさせておき、ハダニの侵入時期に間に合うだけのミヤコカブリダニ密度を、暖かいうちに上げておくことが重要だと考えています。

すでにイチゴの天敵類の放飼が終わっているという方も多いと思います。
今年は例年通りの寒さが来ておりますので、昨年末のようなハダニの多発状況にはならないと考えられますが、まだ放飼されていらっしゃらない方は早めの放飼をお勧めいたします。

参考として、2012年と2016年のイチゴアンケートの結果を示します。
2012年より早めにスパイカルEXを放飼される方が増えています。これは非常にいい傾向で、イチゴの天敵利用の理解が深まっていると感じられます。

2016年産 促成栽培イチゴにおけるハダニ類の発生状況と天敵利用の状況
 

※2016年11月30日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。