アリスタ通信 〈アリスタ 蟲噺(むしばなし)〉カメムシの活用
 
 
〈アリスタ 蟲噺(むしばなし)〉 カメムシの活用
 
アリスタ ライフサイエンス(株) 丸山博紀

カメムシの臭いの活用
屁こき虫やヘッピリムシの呼び名でなじみ深いカメムシ(分類学的には半翅目の異翅亜目の仲間)は、‘におい’を発することでよく知られています。
カメムシを扱う研究者や愛好家はこの独特のにおいから、カメムシの名前を言い当てるほどで、その様はまるで、昨年にNHKで放映された刑事ドラマ「スニッファー  嗅覚捜査官」のカメムシ版のようです。

カメムシのにおいは、(E)-2-hexenal、(E)-2-octenal、OHE、(E)-2-hexenyl acetate、(E)-2-octenyl acetateなどの複数の成分からなり、その組成は種類や成長段階により異なります。
臭気成分の中には、(E)-2-hexenalのような緑の香り成分が含まれています。そのため、私たちはカメムシを青臭く感じたり、時にキュウリやパクチーに似たにおいをほのかに感じたりするのでしょう。

カメムシの臭気成分には油に溶けやすい性質があるので、カメムシのにおいが手についた場合は、ついた部分にサラダ油やオリーブオイルなどを揉みこむようになじませ後、石鹸などで洗い落とすとにおいが消えやすくなります。

カメムシのにおいには、同種間のコミュニケーションのためのフェロモン(性フェロモン、集合フェロモン、警報フェロモンとして他個体に情報を伝える)や、外敵から身を守るための防御物質としての働きがあります。

近年、臭気成分の防御物質としての様々な役割が知られるようになり、例えば、アリがカメムシの匂いを嫌うことや、カマキリがカメムシを食べるのを躊躇する行動は、臭気成分の活性によるものと考えられています。また、臭気成分の抗菌作用に関する報告もあります。
〈アリスタ 蟲噺(むしばなし)〉カメムシの活用

現在の農業場面では、アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメ、チャバネアオカメムシなどの合成集合フェロモンが製剤化され、発生予察資材として活用されています。研究の進展とともに、今後は、臭気成分の機能をうまく利用した新しい殺虫剤や忌避剤の開発が期待されます。
参考文献:野下浩二(2015)日本農薬学会誌40(2)、152-156

タイリク
編集子注:アリスタの販売している天敵昆虫 『タイリク®』 もタイリクヒメハナカメムシというれっきとしたカメムシの一種です。ただ上述のカメムシに比べてやっと目に見えるほどの大きさです。どちらもカメムシ目の昆虫であることにかわりはありませんが。

『タイリク』はスワルスキーカブリダニが製品化される前は、アザミウマ防除の特効の天敵でした。現在ではタイリクはヒラズハナアザミウマをよく捕食するので、スワルスキーと一緒に主にピーマンで使用されています。タイリクは、アリスタの筑波の研究生産施設バイオシステムでも一部増殖しています。
〈アリスタ 蟲噺(むしばなし)〉カメムシの活用

※2017年2月2日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。