アリスタ通信 半促成栽培 施設果菜類のスワルスキーR放飼前後の注意点
 
 
半促成栽培 施設果菜類のスワルスキー放飼前後の注意点
 
アリスタ ライフサイエンス(株) 里見純

スワルスキーは施設果菜類のアザミウマ・コナジラミ・チャノホコリダニを同時に防除可能な「画期的な天敵」として、発売以来利用面積が拡大しています。
特に半促成栽培の地域では早くからスワルスキーを利用されている方が多く、5年以上利用されている方も少なくありません。
そこで、スワルスキー放飼前後の注意点について、おさらいをしたいと思います。

1. 放飼前の薬剤の影響日数を確認!
放飼前にスワルスキーに影響のある薬剤を散布している場合、その影響日数より間隔が空いているか確認してください。
下記のアリスタ ライフサイエンス社のHPに「天敵等に対する農薬の影響表」が掲載されていますので、ご参照ください。
https://www.arystalifescience.jp/product/product_index.php

2. ホリバー(粘着板)の設置!
特集2.でもお伝えしましたが、サイドネットを展張していない場合、暖かくなってきてハウスサイドを開放すると害虫がいっせいに飛び込んできます。
開放する前にホリバーの設置してください。
ホリバー イエロー 100枚 + ブルー 100枚/10aを推奨しています。
イエローは、コナジラミ類やアブラムシ類の成虫用、ブルーは、アザミウマ類の成虫用です。

半促成栽培 施設果菜類のスワルスキー放飼前後の注意点
写真1. ホリバー イエローとブルーのピーマンでの設置状況


3. 放飼後1~2週間は葉かき・整枝は控えて!

これは、放飼直後にスワルスキーが産卵を始めるため、この期間に葉かき・整枝をしてしまうと卵や幼虫を圃場から持ち出してしまうことになるからです。
放飼後2週間ほどするとスワルスキーはほぼ作物の全体に均一に生息するように分布しますので、こうなれば葉かき・整枝をしても問題ありません。
葉かき・整枝をした場合は、一時的に株元に置いておくようにしてください(写真2)。
なお、葉や枝に病斑が認められる場合は、病害の発生源になる恐れがあるため、適切に破棄してください。
半促成栽培 施設果菜類のスワルスキー放飼前後の注意点

4. 放飼後1~2週間は薬剤散布を控えて!
スワルスキーは放飼後に、葉裏の毛耳の先に産卵を始めます(写真3)。
ここに薬散をすると卵が散布圧で吹き飛んでしまったり、生まれたばかりの幼虫に影響があったりします。

5. 放飼後の薬剤散布は影響「◎」の薬剤を中心に!
スワルスキーに対する薬剤の影響表を確認して、なるべく「◎」の薬剤から使用してください。前ページに掲載した弊社のHPの影響表をご参照ください。

6. 放飼後にスワルスキーが見えやすくなるのは放飼3週間後以降から
スワルスキーは、非常に見つけやすい天敵です。
しかし、放飼直後に見つけようとしてもまだ数が少なく、見つけることは難しいです。
スワルスキーがどの葉にも均一に見られるようになるには放飼から3週間後以降と考えてください。
作物によって定着量にやや差があり、ピーマンでは1~3頭/葉、キュウリでは2~5頭/葉、ナスは少なめで1頭/葉程度のスワルスキーを観察することができます。

写真4. ピーマンの葉裏のスワルスキー(葉脈の陰に潜んでいることが多い)
写真4. ピーマンの葉裏のスワルスキー(葉脈の陰に潜んでいることが多い)


最後に、基本的な注意事項をまとめます。

・なるべく全ての株に放飼してください。
・地面に落ちないよう、水平な葉の上にやさしく乗せてください。
・放飼途中で足りなくならないよう注意してください。


① 放飼前

スワルスキーカブリダニは容器内に偏在しています。
放飼前に容器を10分程横向きに静置します(写真5)。
放飼直前にゆっくり10回転させて、スワルスキーカブリダニが均一
になるようにしてから放飼します。 
写真5. 放飼前に横にして静置してください。 (ずっと持っていなくても置いておけば大丈夫です)
写真5. 放飼前に横にして静置してください。 (ずっと持っていなくても置いておけば大丈夫です)

② 放飼準備
ⅰ) 減り具合をチェックできるようにマジック等でボトル側面に4等分程度の目盛り線を書きます。
ⅱ) 指で蓋の真ん中にある切り込み線の入った小窓部を押します。
ⅲ) 蓋を空け、小窓片を完全に取り除きます。
ⅳ) 小窓の開いた蓋をボトルに取り付けて放飼します。
半促成栽培 施設果菜類のスワルスキー放飼前後の注意点
写真6. スワルスキーボトルの蓋
写真6. スワルスキーボトルの蓋
③ 放飼方法
・一振りずつ、なるべく全ての株に放飼します。
・地面に落ちないよう葉の上に乗せてください。
・10a当り 2~3本が目安です。
・放飼穴(小窓)が小さいため、約350~400回 振ることができます。
・栽植本数が多い場合は振る力を加減して 回数を増やしてください(約500回まで可能)。
・最初は少なめに、余ったら害虫の発生が多い場所に 重点的に振ってください。
・ボトルを横にして指で叩くようにすると少量の放飼が可能です。 
半促成栽培 施設果菜類のスワルスキー放飼前後の注意点
 

以上、スワルスキーの放飼前後の注意点をよく守って、スワルスキーの定着を向上させ、スワルスキーをハウス内で飼育しているかのように上手に使っていただけると幸いです。
 

※2017年4月27日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。