アリスタ通信 茨城県の促成栽培ピーマンでリモニカを試験して
 
 
茨城県の促成栽培ピーマンでリモニカを試験して
 
アリスタ ライフサイエンス(株)
茨城県フィールドアドバイザー 白井 謙一

茨城県神栖市を中心としたピーマン栽培では、アザミウマ類が媒介する黄化えそ病の発生が常態化しており、年により大きな被害を受けてきた経過がある。
平成14年ごろからアザミウマ類防除のためタイリク(タイリクヒメハナカメムシ)が導入され、アフィパール(コレマンアブラバチ)とともに普及しつつあった。しかし、平成17年ごろから薬剤抵抗性の発達したタバココナジラミバイオタイプQが発生した。
タイリクはタバココナジラミをほとんど捕食しないため、天敵のエルカード(サバクツヤコバチ)を導入し検討されたが、ゼロ放飼ができない天敵であるため、放飼タイミングが難しく効果が不安定であった。そのため天敵の導入を断念して、従来の化学農薬の防除にもどる生産者が多く、天敵利用者が激減した。

その後、平成20年にスワルスキー(スワルスキーカブリダニ)が農薬登録を取得した。
スワルスキーはピーマンでの定着と増殖が良く、問題となっているコナジラミ類とアザミウマ類など複数の害虫を捕食することから高い評価を受け、天敵を主体とした防除体系の確立・普及が進められ、半促成栽培と抑制栽培の作型ではスワルスキーとタイリクの併用による防除体系が確立した。しかし、冬期間を経過する促成栽培ではスワルスキーとタイリクの定着、増殖に厳しい環境であり、天敵の利用が進んでいなかった。

このような中、平成27年にリモニカ(リモニカスカブリダニ)が農薬登録を取得した。
リモニカはスワルスキーより低温に強く、アザミウマ類、コナジラミ類の老齢幼虫も捕食可能という特長がある。促成栽培におけるリモニカのアザミウマ類、コナジラミ類の防除効果を試験したので、その1例を紹介する。
ハウスの面積は15a、品種は「みおぎ」、定植は平成27年10月23日である。リモニカは10月30日に2本放飼した。また、11月25日にホリバー  ブルーを180枚、イエローを50枚設置した。

リモニカの放飼量がやや少なく、放飼後1ヶ月間は定着にばらつきが見られ、12月にはミカンキイロアザミウマの被害が少し見られた。しかし、リモニカは増殖が速く、12月から1月にはリモニカが増加し、花でも多く確認できた。その結果、2月以降はアザミウマ類の発生を抑えることができた。

コナジラミ類の発生はほとんど見られなかった。化学合成殺虫剤の散布は延べ11剤で茨城県の特別栽培農産物栽培基準の約50%減に抑えられた。促成栽培ピーマンにおいて、リモニカの防除効果が高いことが実証され、天敵を主体とした防除体系の確立が期待される。

茨城県の促成栽培ピーマンでリモニカを試験して

※2017年11月8日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。