アリスタ通信 イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い
 
 
イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い
 
アリスタ ライフサイエンス(株)
技術普及マネージャー 里見 純

イチゴ本圃の天敵利用においては、ハダニ防除としてミヤコカブリダニとチリカブリダニの併用が広く普及しています。これまでイチゴ本圃では、ボトル製剤であるスパイカルEX (ミヤコカブリダニ)とスパイデックス(チリカブリダニ) を利用してきました。

しかし、ミヤコカブリダニに関しては、パック製剤であるスパイカルプラスも販売されているため、ボトル製剤とパック製剤を比較してどちらが適しているのかという問い合わせが増えてきました。弊社では、以前からイチゴ本圃における両製剤の違いについて検討しておりますので、その事例を以下に示します。
左:スパイカルEX(ボトル製剤)右:スパイカルプラス(パック製剤)
左:スパイカルEX(ボトル製剤)
右:スパイカルプラス(パック製剤)



平成24年度 栃木県IPM展示ほ実績
平成24年度 栃木県IPM展示ほ実績

ハダニの発生については、スパイカルEX+スパイデックス同時放飼区では、1月下旬から発生が見え始めたものの、追加放飼後も低密度で経過し、良好な状態でした。

一方、スパイカルプラス+スパイデックス同時放飼区では、12月上旬からハダニが一気に増え始めたため、1月中旬に前倒しでスパイデックスの追加放飼をしました。放飼時にハダニが増加傾向にあったため、ダニサラバフロアブル散布後、さらに2回目のスパイデックスの追加放飼をし、3月上旬以降、チリカブリダニが定着し、やっとハダニの密度が低下しました。結局、放飼後のハダニに対する効果が緩慢で、初期のハダニの発生を抑えるまで至りませんでした。本区の天敵放飼後の化学農薬・非化学農薬の散布回数はそれぞれ2回、天敵の追加放飼が1回多くなりました。いずれの区でも栽培終了期までミヤコカブリダニの定着が確認できました。

以上の結果から、イチゴの本圃におけるミヤコカブリダニ製剤はボトル製剤のほうが有効であると結論付けています。その他の事例でも同様の結果が出ています。
何故、ボトル製剤の方が有効なのでしょうか?その理由は以下のように考えられます。

ボトル製剤では、約1.5~2m間隔で放飼することを推奨しており、10a当たりの放飼箇所数は約400箇所と考えていますが、パック製剤の場合、10a当たり約100パックしか置けないため、パック間の距離が8~10m空いてしまうことになり、ハダニ発生箇所への天敵の到着が遅くなります。この状況を図に示すと以下のようになると考えられます。

イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い
・ボトルで放飼した場合、約400箇所/10a放飼可能。
・圃場全体に放飼することでハダニ発生株に速やかに到着でき、ハダニ防除が早い。
・発生の多いところに振るなど、強弱がつけられる。

イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い
・1袋(約100パック)で、約100箇所/10a放飼可能。
・設置間隔が広いため、分散が遅く、パック間に隙ができ、ハダニが発生しやすいことも。
・低温時はさらに放出に時間がかかるため、ハダニ発生株への到着が遅くなり、ハダニ防除に時間がかかる。

結論として、初期の分散性やハダニに対する効果発現の早さを重視して、イチゴ本圃の天敵放飼についてはボトル製剤の利用を推奨します。


スパスパ天敵混用放飼器について
イチゴではスパイカルEXとスパイデックスの同時放飼を推奨してきましたが、近年はさらに効果を安定するために、10aあたりの同時放飼量としてスパイカルEX 1本とスパイデックス3本を推奨しています。しかし、スパイカルEXを放飼した後にスパイデックス3本を続けて放飼するのは作業が増えて面倒という意見もございました。
そこで、大き目のボトルにスパイデックスとスパイカルEXを順番に入れて撹拌し、これを圃場に放飼する天敵混用放飼器を考案いたしました。天敵混用放飼器を用いることで、天敵を1m間隔で効率的に放飼することが可能となり、圃場内により均一に天敵類を放飼できるようになりました。さらに放飼時間も約4割短縮できます。
この天敵混用放飼用の専用ボトルは、この秋から 「スパスパ天敵混用放飼器」 としてスパイカルEX 1本とスパイデックス3本の同時放飼を実施される方を対象に配布しており、すでにご利用されている方もいらっしゃいますので、興味をもたれた方はぜひお問い合わせください。

●用意するもの(10a分)
スパスパ天敵混用放飼器、スパイカルEX ×1本、スパイデックス×3本、専用ロート
スパスパ天敵混用放飼器、スパイカルEX ×1本、スパイデックス×3本、専用ロート

イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い

従来よりも放飼の手間と時間の省略に

① 付属のロートを組み立ててください。

② 混用放飼器のキャップを取り、ロートを差し込んでからスパイカルEX 1本とスパイデックス3本を1本ずつ移してください。
※中身がこぼれないよう十分注意してください
※スパイデックスはよく撹拌してから移してください

③ 全て移し終えたら混用放飼器のキャップを閉めてください。また、移し終えた後の空のボトルには天敵が残っているので、キャップを外したままイチゴの株元に静置してください。ハダニが発生している場合は近くに置くと効果的です。

④ 放飼量を確認するために目盛りをマジックで書いてください。振りすぎて無くならないように、一番下の目盛りを多めにとっておくと安心です。

⑤ 放飼する前にボトル内の天敵が均一になるように、ボトルを横にして10~20回ゆっくり回転させてください。
※上下に強くシャカシャカ振らないように注意してください

⑥ 放飼回数は約800回です。10aの一般的なイチゴの圃場の場合、放飼間隔の目安は約1.0mです。二条植えの場合は片方の株に放飼すれば近辺の株に移動します。なるべく圃場全体に均一に放飼してください。最後に余った分はハウス入口やサイド付近等、ハダニが発生しやすい箇所に放飼してください。

⑦ 放飼後はキャップを外して、ボトルとキャップをイチゴの株元に横にして静置してください。容器内に残っていた天敵が1~2日で株上に移動します。

イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い
イチゴ本圃におけるミヤコカブリダニ製剤の分散性の違い

※2017年11月8日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。