アリスタ通信 <IPM随想>微生物殺虫剤「マイコタール」の最適温度や起源について
 
 
<IPM随想>微生物殺虫剤「マイコタール」の最適温度や起源について
 


微生物農薬の作用機作については、一般的には、湿度が高く、25度前後の気温条件が好適とされています。

子嚢菌門と担子菌門の違いはあるものの後者の代表であるシイタケ、マツタケの栽培好適条件をウィキペディアで調べてみると以下のようでした。

シイタケ菌は、3~4℃でもわずかに成長しているが、普通5℃から成長を開始し、24~25℃が最適生長温度となる。一般にシイタケ菌は低温に体する抵抗力が強く、高温に対する抵抗力は弱い。致死温度は、45℃で10分間、40℃で30~60分間であり、35℃でも長時間さらされた場合は死滅する。

マツタケ菌の菌糸体の生育温度範囲は5~30℃、最適温度は22~25℃、最適pHは4.5~5.5であり、菌糸の成長速度は遅い。つまり微生物農薬のなかでも、カビの仲間は、秋が一番成長に適していると考えられます。

マイコタールもボタニガードも日本のような湿度と気温がカビの成育に合った国で、よりその力が発揮されるといえます。

ただバーティシリウム菌は地理的には、熱帯および温帯に広く分布しており、バーティシリウム・レカニ菌が発見されたのは、1861年にセイロン (現スリランカ) のコーヒーの木に寄生していたカイガラムシからなのです(この時の気温を知りたいところですが)。

その虫の学名がレカニウム・コフェアエ(Lecanium coffeae)  という名前でしたので、この菌の名前がバーティシリウム・レカニになったのです。 

なお学名は、10年ほどまえに、レカニニシリウム・レカニに変わり、近年更に、レカニシリウム・マスカリウム (Lecanicillium muscarium) に変わりました。学名変わりすぎですね。

(和田記)
マイコタールに感染したコナジラミ
マイコタールに感染したコナジラミ

※2018年11月8日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。