アリスタ通信 半促成栽培における 「リモニカ」 の使い方
 
 
半促成栽培における 「リモニカ」 の使い方
 
アリスタ ライフサイエンス(株) 技術普及マネージャー 里見 純


「スワルスキー(スワルスキーカブリダニ)」 の利用を中心としてIPMが普及してきていますが、一部の作物・作型で管理温度が低いため定着が難しく、スワルスキーの利用率が上がっていない場合があります。このような作物・作型に対して低温が比較的苦手というスワルスキーの欠点を補うのが 「リモニカ(リモニカスカブリダニ)」です。
リモニカの活動温度幅は、10~30度と報告がありますが、最低温度を8度に設定した促成栽培のイチゴハウスでも11月に放飼したリモニカが翌年3月に増殖し、定着していたことが確認されています。気温が低い時期は圃場で見つけることは難しいですが、リモニカは圃場で生き残って、気温の上昇とともに見つけることができます。

半促成栽培キュウリでのリモニカの使い方
キュウリの半促成栽培の定植時期は12~1月頃で、夜間は最低12度以上に保つ必要があるとされています。近年は、燃料代がかさむため、最低温度設定を12度以下にする生産者も多いのですが、この管理温度ではスワルスキーにとっては低すぎる温度であると考えています。スワルスキーを利用する場合の最低温度設定は13.5度以上を勧めており、これ以下になった場合、害虫は増殖可能ですが、スワルスキーは増殖できないため、害虫密度が高まることになります。
これに対してリモニカは、最低温度が8度に設定されている施設イチゴで定着が確認されており、温度が上昇したときの増殖力も高いため、半促成栽培キュウリの最低温度である12度設定であれば、十分に増殖が可能だと考えられます。


半促成栽培ナスでのリモニカの使い方

ナスの場合、半促成栽培や夏秋栽培ではスワルスキーのみで十分な効果があったため、スワルスキーが利用されています。しかし、半促成栽培でスワルスキーを利用する場合、放飼時期をいつにするかで悩む方が多いです。これは半促成栽培の定植時期がキュウリと同様に12~1月であり、この時期にスワルスキーを放飼してもあまり増殖しないのではないかと考え、もう少し暖かくなってきてから放飼しようとすると、今度は作物が大きくなっていて、放飼してからスワルスキーが作物全体に行き渡るのに時間がかかってしまい、その隙にハウス外から飛び込んできた害虫の被害に遭うことがあります。そこで考えられるのが、半促成栽培でのリモニカの定植直後の放飼です。リモニカであれば、温度を気にせず定植直後から利用が可能です。

キュウリでもナスでも、半促成栽培ではスワルスキーよりもリモニカを定植後早めに放飼したほうが、作物が小さくカブリダニが作物全体に行き渡るのに好都合です。

半促成栽培における 「リモニカ」 の使い方

半促成ピーマンでのリモニカの使い方
ピーマンは元々高温で管理する作物のため、温度に関しては、スワルスキーで十分ですが、ヒラズハナアザミウマの発生が他の果菜類と比較して多いことが問題となっています。ヒラズハナアザミウマは花の中に異常なくらいの数が集まり花粉を食べるのが特徴で、ピーマンの果実を加害するわけではありません。ヒラズハナアザミウマは、軸の部分を加害するため、特に軸を残して販売するパプリカやシシトウで問題となります。
これまで、これらのピーマン類ではスワルスキーと一緒にタイリク(タイリクヒメハナカメムシ)が利用されてきました。しかし、スワルスキーとタイリクを同時に利用すると使用可能な農薬数が極端に少なくなってしまい、緊急の場合に対処するのが難しくなるという欠点があります。そこで、スワルスキー+タイリクの代替としてリモニカをお勧めしています。

写真1. シシトウの花の中のヒラズハナアザミウマ
写真1. シシトウの花の中のヒラズハナアザミウマ

リモニカとスワルスキーの同時放飼
さて、ここまでリモニカの特徴、スワルスキーとの違いについて紹介してきました。

現在、より安定した防除効果の提供を目的に、高い定着性や広い捕食範囲を持つスワルスキーと優れた低温耐性を持ちコナジラミ・アザミウマの終齢幼虫を捕食するリモニカを同時に放飼する技術の普及を推進しております。

多くの方々に効果を実感いただくために、お得な価格でお試しいただける 『リモスワセット モニターキャンペーン』 を2月15日より実施いたします。

半促成栽培における 「リモニカ」 の使い方
半促成栽培における 「リモニカ」 の使い方


半促成ピーマンにおいて、リモニカ+スワルスキーの効果試験を実施したところ、慣行のスワルスキー区よりも放飼3ヶ月以降のアザミウマ密度を低く抑えられました。
リモニカは、放飼頭数がスワルスキーの半分であるため、初期の合計天敵数が少ない傾向にありますが、アザミウマに対する防除効果は十分でした。


※2019年2月5日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。