アリスタ通信 第3回 日本生物防除協議会シンポジウムより
 
 
第3回 日本生物防除協議会シンポジウムより
 
アリスタ ライフサイエンス(株)
技術顧問 和田 哲夫


2019年3月5日、東京都北区 北とぴあにおいて、250名もの皆様にご参加いただき、お陰様で大盛況のうちに終えることができました。第3回 日本生物防除協議会シンポジウムのサマリーです。

1. タバコカスミカメの利用技術について 西日本農業研究センター 安部 順一朗氏
ヨーロッパでは、タバココナジミに有効な基本的な天敵として利用されている本天敵について、日本でも西日本中心に  ピーマン、シシトウ、キュウリでそれぞれ30%、60%、20%使われている現状を説明。
スペインでは、85%のハウスで使われてきたが、近年50%程度に落ちているのは、トマトサビダニなどの新害虫の問題化が推定されている。
トマトキバガにも本天敵は効果あるようであるが、ポルトガルではフェロモンも利用されていた。
スワルスキーカブリダニとの併用が勧められるとのこと。日本での天敵農薬としての登録が期待される。

2. 農業生態系における昆虫と共生 東京農工大学農学研究院 井上 真紀氏
昆虫共生菌の働きや化学農薬への抵抗性、ウイルス農薬などについて説明。

3. 複合性フェロモン剤の利用と果実販売の取り組み ふくしま未来農業協同組合 佐藤 宏一氏
モモ、ナシ、リンゴの販売において当初は殺虫剤の削減をPRしていたが、現在は削減していることが、標準となってきた。モモハモグリガ、ナシヒメシンクイ対象がメインだが、下草管理による天敵の保存、バンカープラントの利用、天敵に影響の少ない剤の利用、耕種的防除などを積極的に取り入れていきたい。

4. 十勝におけるブロッコリーの生産の取り組み JA木野 宮脇 浩治氏
以前は銅剤で腐敗病、軟腐病を防除してきたが、薬害の発生から、マスタピース剤を採用。
微生物農薬利用により優品率が上昇した。

5. ミヤコカブリダニのナシでの利用 千葉東葛農業事務所 松田 哲夫氏
住宅に隣接しているナシ畑が多く、農薬散布がしにくい、また収穫時期に農薬をまけないなどの理由で、
スパイカルプラスを船橋市でテスト開始。平成29年は100パック/10aだったが、30年は57パック/10a。
フェロモンのコンフューザーNも使った。下草を残すことが重要。コストは30年では反当り11,400円であった。カメムシの侵入を防ぐネットは必要。天敵に影響のない薬剤を利用。チェス、エクシレル、アプロードなど。

6. 茨城県のピーマン栽培での天敵利用 茨城県農業総合センター 鹿島 哲郎氏
タバココナジラミとヒラズハナアザミウマの防除にスワルスキーとタイリクを利用。
両天敵を1月中旬に放飼、また時間差を設けて二つの天敵を放飼したが、どちらでも効果が確認された。
その結果、定植3週間後にタイリクとスワルスキーを放飼することが良いと判断された。

7. オクラのIPM JAいぶすき オクラ部会会長 前川 信男氏
アブラバチ、テントウムシ、ヒラタアブ、クサカゲロウ等の土着天敵とソルゴーなどの障壁作物、アフィパール、ヒメカメノコテントウなどの市販天敵技術を用いて農薬散布回数を9割減に成功。
現在オクラグループでは33haがIPMに転換している(50%シェア)。IPMの普及には勉強会が必要である。

その後、『築地宣言』 として生物農薬の利用が全農薬出荷額の2 %になるべく、さまざまな普及活動を協議会としている事業を紹介。出前勉強会も行うという。

天敵への農薬の影響表の事業も継続して、新農薬の天敵への影響は、協議会のHPで見ることができることなど説明。


※2019年7月31日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。