アリスタIPM通信 イチゴ圃場でのミヤコカブリダニの見つけ方
 
 
イチゴ圃場でのミヤコカブリダニの見つけ方
 
 
ハダニ類の天敵スパイカルEXの有効成分であるミヤコカブリダニ(以下、ミヤコ)は、放飼後のイチゴの圃場内でなかなか見つからないという話を皆様から良く聞きます。

ハダニが増えた時にミヤコの姿が見られないからといって、あきらめて影響のある農薬を散布してしまう方もいらっしゃいますが、是非早まらない様お願い致します!ミヤコはイチゴの圃場では、影響のある農薬を使わない限り圃場内のどこかに潜んでいます。今回は、皆様が圃場でミヤコと出会うためのコツを説明させていただきます。
 
■ミヤコカブリダニの特徴
ミヤコは直射日光を嫌う性質があるため、葉表等の人目につく場所にはあまり出てきません。普段は葉裏や花の中等にいる事が多いようです。また、体色も淡黄色でイチゴの葉裏の色に似ており、体長も約0.3mmとかなり小さいことも見つけにくい原因となっています。

■ミヤコカブリダニとの出会いの場所
ミヤコは広食性のため花粉等も食べますが、やはり餌としてはハダニが一番!イチゴの広い圃場でわずか0.3㎜の小さな小さなミヤコと出会うためには、やはり「彼らの好きな場所=ハダニが多い場所」を探すのが、出会いのための重要ポイントです。やみくもにイチゴの葉裏を探しても、ミヤコの密度がよほど高くならない限りは難しいでしょう。

■ミヤコカブリダニとの出会いの時期
出会いには時期も重要です。イチゴではミヤコの放飼時期は、秋から冬にかけての低温期になります。ハダニも同じですが、ミヤコは気温の低い時期には活発に動くことができません。また、増殖の速度もかなり遅くなります。ミヤコは夏の間、1週間程で卵から成虫まで成長することができますが、冬の間は卵から成虫まで3週間程かかります。放飼直後~数ヵ月間は気温が低い時期ですので、「餌が豊富=ハダニが多い」条件であったとしても、徐々にしか増えることができません。しかし、春を迎えて生き物が活発に動く頃(当然害虫も!)、ようやくミヤコも増殖が速くなるため、急激に密度が増加します。そのため、ハダニが発生している葉をよく観察すると、高い確率でミヤコに出会うことができます。また、栽培終盤の時期になると、ハダニが発生していない葉や花弁の中でもミヤコが容易に発見できるようになり、皆様の大事なイチゴをハダニから守ってくれていたことが確認できます。

■ミヤコカブリダニの探し方
ルーペは必須アイテムです。あまり倍率の高いものは必要ありません。5~10倍がお勧めです。放飼1~2ヵ月後位に、ハダニが発生した株を中心に葉裏を観察して下さい。天敵を放飼した場所の周辺の葉がベストです。この時にいきなり葉裏にルーペを当てても発見が難しいため、まずは肉眼でハダニ発生葉の裏を注意深く観察してみましょう。ハダニはあまり動きませんが、ミヤコはかなり速い速度で歩き回ります。葉裏で勢いよく動き回るオレンジ色のダニが見られたら、ルーペを当ててみて下さい。きっと次ページの写真3から6のようにミヤコが確認できるはずです。
 
写真3.ミヤコカブリダニ
写真4.ハダニを捕食中のミヤコカブリダニ
写真3.ミヤコカブリダニ
写真4.ハダニを捕食中のミヤコカブリダニ
写真5.イチゴ葉裏のミヤコカブリダニ
写真6.ミヤコカブリダニとその卵
写真5.イチゴ葉裏のミヤコカブリダニ
写真6.ミヤコカブリダニとその卵
 
■ミヤコカブリダニと出会うための極意
・農薬の影響を残さず、ミヤコの住みやすい環境づくりを!
・焦りは禁物。放飼後にハダニが増えたら、天敵に影響の少ない殺ダニ剤を散布!
・放飼後1-2ヵ月後から徐々に探してみましょう。探す場所は、ハダニが発生している葉や放飼した葉の周辺を中心に!
・春はミヤコとの出会いの季節!ハダニがいる場所の周辺では高い確率でミヤコに出会えます。

■ミヤコカブリダニ確認の新技術紹介
山口県農林総合技術センターでは、ミヤコの簡易モニタリング装置として「ダニ坊主(仮称)」を開発しています(写真7.8)。「ダニ坊主」とは、50cm程度の竹棒の先に綿を付け、それをフェルト布で包んだ玉状のもの(第54回日本応用動物昆虫学会大会講演要旨集A105より)です。高設栽培ベンチに取り付けるよう開発されたものです。カブリダニが高所に登りたがる性質を利用しています。
「ダニ坊主」をいくつか設置し、イチゴの葉に触れるように張り渡したビニール紐で各々の「ダニ坊主」を結ぶと、カブリダニが玉上に観察されるようです。カブリダニがなかなか見つからない方は一度試してみてはいかがでしょうか?

写真7.ダニ坊主
写真8.ダニ坊主設置状況
写真7.ダニ坊主
写真8.ダニ坊主設置状況
※写真7と8は、山口県農林総合技術センター提供
 
 
※2011年10月31日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。