アリスタIPM通信 ハウスミカンにおけるスワルスキーによるミカンハダニ防除とIPMプログラムの構築
 
 
ハウスミカンにおけるスワルスキーによる
ミカンハダニ防除とIPMプログラムの構築
 
 
2010年10月以降から2011年にかけて実施されたハウスミカンにおける実証試験の
概要を表1. に示しました。
 
表1. ハウスミカンでの実証試験の概要
表1. ハウスミカンでの実証試験の概要
 
ハウスミカンの実証試験から判断された傾向は、以下のポイントに絞られました。

(1)ミカンハダニの防除に関して、スワルスキーの放飼タイミングを満開時、または満開後とすると成績が良い傾向にありました。

(2)満開時、または満開後にスワルスキーを放飼して2週間以内にミカンハダニが発生する場合には良好な結果が得られたものの、ゼロ放飼ができず発生が多すぎる場合には抑えきれていません。また満開後の放飼でも、ミカンハダニの発生までに時間が経ちすぎても定着がよくないようでした。これらを考えるとスワルスキーは、ミカンの場合には花粉を餌として利用できないためにある程度の時期に餌としてのミカンハダニの発生がないと増殖、定着ができないと考えられます。

(3)スワルスキーの放飼を開花前に実施した場合には、定着が悪い傾向にありました。

(4)ゼロ放飼が不十分な場合で、スワルスキー放飼のあとで、ハダニが増加したケースでは、一度だけ薬剤によるハダニ防除(レスキュー防除)を行うとその後はミカンハダニがほぼゼロに抑えられることもわかりました。この場合レスキュー防除に用いる殺ダニ剤としてはスターマイトが適していました。




現時点での結果から判断すると、図に示すようなIPMプログラムを構築すると良いと考えています。
IPMプログラム
(1)加温開始後に一度殺ダニ剤で、ハダニ密度を低下させておく

(2) 地域・個別ハウスのハダニ発生時期に合わせて放飼する

(3)SW放飼後、ミカンハダニがある程度発生してくれば、約3か月間はハダニを低密度に維持させることが可能である。但し、この期間にハダニの目立った増加が見えたら、スターマイトを1回だけ散布しておく

(4)ハウス開放時期が来ると外部からのアザミウマが侵入するので、アザミウマ防除を中心にした防除体系に移行する。もちろんネット設置などでアザミウマ侵入時期をなるべく遅らせることができれば、さらに省力的なIPMプログラム体系を維持して行くことが可能と考えられます。

以上の点がハウスミカンの実証試験からわかってきたことです。


これらのプログラムは加温開始時期が成功の要因であり、加温開始時期が早いほどアザミウマが問題となる時期までの期間が長くなり、IPMプログラムのメリットが十分発揮できると考えています。
スワルスキーを利用したハウスカンキツ(不知火、かぼす、すだちなど)も含めてさらに実証試験を進めており、今後それらの情報に基づいてIPMプログラムをよりチューンアップすることで精度の高いものにしていこうと考えております。
 
 
 
※2011年10月31日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。